映画のレビューを書くには
映画のレビューを書く際は、まるで新しいガジェットを分析するかのように、知識と個人的な感覚を活用するのがポイントです。
私は感想を書く過程で多くのことを考えます。書いているとわからない部分にぶつかり、それを調べてまた書き進めます。
そのプロセスの中で、作品の一部を改めて見直すこともありますね。映画を観るたびに感想を記す習慣をつけることで、徐々に考察するコツが掴めると思います。
ただ、個人的には、同じ作品を何度も繰り返し観るよりも、別の作品(例えばよくレビューで比較されるような作品など)を観た方が、考察の技術は向上すると感じています。
映画のストーリーを即座に理解するのは難しいかもしれません。
観ながら考えるだけでなく、観終わった後に感想を書きながら新たな発見をする人は多いと思います。
初めは何を書くべきか迷うかもしれませんが、面白い点やそうでない点をリストアップしたり、自分なりにあらすじをまとめてみると、思いのほか理解していなかった部分が見えてくると感じます。
これは映画に限らず、音楽や本、絵画など全てに当てはまることではないでしょうか。
順序立てて説明し、その過程で気付いたことを書き出すと、全体の流れや自分の感じたことがはっきりしてくるでしょう。
ほとんどの場合、わたしたちはただ見るだけですから、感じるままに映像を受け止めてみてください。
あらすじを思い出せなくなったら調べてみると、すぐに思い出せるはずです。
解釈を広げるには
例えば、人生で初めて映画を見たとして『天空の城ラピュタ』がそれだったら、「ハラハラした」や「飛行船がカッコ良かった」といった印象を持つかもしれません。
しかし、『ナウシカ』を見た経験があれば、「滅びた文明やそれを覆う自然の力強さ」といった共通するテーマに気づくでしょう。
また、『サイレント・ランニング』というSF映画を見たことがある方は、ラピュタのラストシーンでその作品を思い出すかもしれません。
※両作品には「お世話ロボットを乗せた自然の箱庭が飛び去っていく」という共通点があります。
似た作品を知っていると、それらを比較することで、異なる部分から作品の特色が浮かび上がってきます。
たとえば、『サイレント・ランニング』では地球が環境汚染により荒廃し、緑が宇宙ステーションで養殖されているのに対し、『ラピュタ』や『ナウシカ』では人間の文明が一度地球を支配した後に衰退し、自然がその跡を覆い尽くす世界観が描かれています。
このことから、宮崎駿監督が自然を「人間の力を超越したエネルギーを持つ存在」と捉えていると推察できますね。
さらに、小説や実際の歴史、神話、心理学などの知識があれば、作品の解釈の幅は一層広がるでしょう。